共に祝い合った、ステキなパーティー!
2019年7月17日は、当法人の運営するグループホームの入居者であるYさんの誕生日です。私たちは誕生日という日を尊いかけがえのない日として位置付けています。そこで、Yさんに今年の誕生日会についての相談をさせていただいたところ、Yさんからある提案がございました。Yさんの提案は、「自分の数日前に、いつもお世話になりっぱなしの佐藤さん(役員)の誕生日があるので一緒にお祝いができないでしょうか」というものでした。
Yさんは自分がお世話になっている方々に対する感謝の気持ちをいつも忘れないで過ごされており、「お祝いをしてもらうことが多く、ぼくがいつもプレゼントをもらっているので、僕から何かできないかって思っているんですよ」とのことでした。私は「とてもステキなご提案をありがとうございます。佐藤さんも喜ばれると思います」と返した後、私から「今年の1月、Sさんは還暦を迎えました。その還暦祝いをまだしていません。一緒にできないかと思います。また、誕生日を迎える佐藤さんの旦那さんである佐藤信行さんが今年度から理事に就任することになりました。その就任祝いを兼ねて、盛大にパーティーをするのはいかがでしょうか」と再提案させていただくと、Yさんは笑みを浮かべながら、「それはいいですね。一緒にやりましょう」ということになりました。傍らでYさんとのやりとりを聴いていた(還暦を迎えた)Sさんは、自分のことも祝ってもらえることに照れながらも、満面の笑みを浮かばれていました。
※小鹿田焼 柳瀬朝夫 八寸鉢
小石原焼 太田圭 刷毛目黄 小皿
やちむん 読谷山焼北窯 小皿
小鹿田焼 坂本浩二 小皿
ただ、今回の誕生日は平日のため、佐藤ご夫妻、理事のFさんがご参加できる日曜日にパーティーを開催することになりました。また、今回のパーティーは、入居者の方々から「食事をしながら佐藤ご夫妻とFさんともっとじっくりお話がしたい」という要望が以前からありましたので、第一部食事会、第二部カラオケパーティーの二部制にしてパーティーを開くことにしました。
7月21日(日)の12時より、当法人の運営する障がい者グループホーム「縁パワーハウジング・ウェイ」内にて、第一部食事会が開催されました。
当法人は「民藝」を愛する方々が多いため、インテリアや食器等はできるだけ「民藝」で統一するようにしています。せっかくのお祝いの宴ですので、前日、民藝店「手しごと」から購入した型染め・風呂敷(山内武志)をリビングに飾りました。非常に美しく、リビングが華やぎました。
Fさんと一緒に民藝の器にご馳走を盛っていると、佐藤ご夫妻がお見えになりました。リビングに入るや否や、民藝で彩られたリビングについて「とてもきれい、ステキですね」と感想を言ってくださいました。リビングのインテリアからはじまり、食器等の美しさについて一つひとつ感想を話されました。目の前に民藝があるだけで、健康的な会話が自然と生まれます。そう、人との会話が和むのです。民藝とともに暮らす私たちグループホームとしては、「愛おしいわが子」を褒められている気持ちになり、嬉しいですね。お祝いパーティーの報告を兼ねて、写真で民藝を紹介していきます。
※山内染色工房 山内武志 型染め 風呂敷
芹澤銈介 型染め 風呂敷
やちむん 知花實 小皿
やちむん 読谷山焼北窯 小皿
12時よりリビングにて、第一部食事会がはじまりました。冒頭、理事長の私からYさんの誕生日会、佐藤さんの誕生日会、Sさんの還暦祝い、佐藤信行さんの理事就任祝いの4つのお祝いを共に祝い合いましょうと挨拶をしました。
第一部食事会は入居者の方々の要望もあったため、入居者の方々から佐藤ご夫妻およびFさんに向かって、Sさんから近況を報告されました。
「グループホームに入ってから作業所でお世話になっていた施設長の方、主任の方だけでなく、お世話になったスタッフがほとんど退職され、『今後はどうなってしまうのだろうか』と最初は不安でいっぱいでした。しかし、新しく入られたスタッフの方々からいろんな声掛けだったり、やさしく接してくださったりされ、少しずつ不安もなくなりました。今は落ち着いて仕事に通っています」
※やちむん 荒焼 新垣栄用 徳利
手吹きガラス工房 太田潤 モスグリーングラス
ガラス工房清天 松田清春 サマーモールグラス 緑・紫・黄
出雲大津焼 民藝
琉球ガラス 奥原硝子製造所 ソース瓶 バーブル
芹澤銈介の弟子の方 型絵染 民藝
Sさんの真剣に語り掛ける様子をうなずきながら受け止めて聴いてくださる佐藤ご夫妻およびFさんの姿が印象的でした。Sさんの話を理事に就任された佐藤信行さんは細かく質問をしながらSさんの話を膨らませ、Sさんが自分のペースで落ち着いて生活なさっている様子をあぶりだされていました。ステキなやりとりでした。佐藤ご夫妻およびFさんの聴き手のうまさがSさんを饒舌にさせました。
次はYさんの語りです。Yさんは個人的に取り組まれているボランティア活動について話されました。
「数人の方々と一緒にA市でボランティア活動の団体を作って、高齢者の困っていることは何なのか、どうしたら高齢者の方々に自分たちの取り組みが届けられるのか、みんなで議論をし合っています。ただ、僕らの団体がこうしたい、ああしたいということがあっても、なかなか市が動いてくれないことが多いので、非常に困っています。でも、僕らが困っているだけでなく、市の高齢者の取り組みをされている方々にインタビューをさせていただいたら、僕らと同じように困ってらっしゃるというのがわかって、その困っている内容も僕らとは違ったもので、それはとても勉強になりましたね」
※越中の和紙 桂樹舎 ブックカバー 民藝
越中の和紙 桂樹舎 名刺入れ 民藝
小田中耕一 型染め 手拭い
手吹きガラス工房 太田潤 グリーン ロックグラス
柚木沙弥郎 型染め 和紙
Yさんはボランティア団体を立ち上げた経緯、取り組みの難しさ、そしてそのもどかしさなどについて話されました。当法人の役員は、縁パワーを立ち上げる以前からいろんな活動をしてきたこともあって、Yさんの悩みはとても共感できることが多いことを伝え、それでも地道に取り組んでいくことの大切さについてYさんにお話をさせていただきました。
入居者の方々の近況を報告していただいた後、入居者から佐藤ご夫妻およびFさんに質問をしていただきました。その質問コーナーで印象的だったのは、Yさんの話でした。以下に紹介します。
「ボランティア活動に若者がなかなか参加してくれません。どう呼び掛けたらよいか、悩んでいます」
※丹波立杭焼 海鼠釉 マグカップ
島根・湯町窯 海鼠釉 マグカップ
やちむん 福田健司 マグカップ
小代焼ふもと窯 井上尚之 丼
島根・湯町窯 斜めしのぎ 海鼠釉 マグカップ
島根・出西窯 呉須 ボール
小鹿田焼 坂本正美 刷毛目 八寸皿
松本民藝館 丸山太郎 風呂敷
理事の佐藤信行さんは次のように応答されました。
「今の若者は、僕らの時代と違って、インターネットなどで多様な情報を受け取っています。価値観も多様になっています。僕らの頃は今ほど多くの情報がなかったこともあって、何かに取り組みやすかったと思います。やりたいことが限られていたといってもいいですね。でも、今の若者たちは、そうではない。情報もいっぱいあり、価値観も多様であり、その中からボランティアをしたいということを選択するのは非常に難しいのではないか。仕事で疲れた休みの日に、何をするのかという選択の時に、ボランティア活動を選択することはよほどのことがないと難しいですね。だから、若者に誘う時でも、いきなりボランティア活動で呼び掛けても思いは届かないと思います。この人に、あるいはあの人に呼び掛けたいのであれば、まず、誘いたい人たちの趣味から入ると思います。その人が何に関心を寄せているのかに一緒に関わっていく中で、良い関係が生まれてきます。そうすると、おのずとYさんのことにも関心がいくと思います。その時に『今こんなことやっているんです』と話された方が自然に呼び掛けられるのではないでしょうか」
※小代焼 たけみや窯 近重治太郎 八寸鉢
小鹿田焼 坂本義孝窯 打ち刷毛目 大皿
佐藤信行さんのアドバイスに納得がいったようで、Yさんは「ありがとうございます。参考にさせていただきます」と笑みを浮かべてそう言いました。
質問コーナーを終えた後、次はプレゼント・コーナーです。
まず、法人(山田およびFさん)からYさんの誕生日祝いとして、リュックサックをプレゼントさせていただきました。Yさんから「最近、リュックサックが壊れてしまって困っているので」とご要望がありました。壊れにくいリュックサックがよいと考え、登山用のグッズをつくっている会社のリュックサックが丈夫だと考え、それをプレゼントさせていただきました。
次にSさんの還暦祝いプレゼントです。実は、最近、Sさんもリュックサックが壊れてしまい、大変困っていらっしゃったので、Yさんにプレゼントした色違いのリュックサックをプレゼントさせていただきました。
入居者の方々にプレゼントさせていただいた後、佐藤ご夫妻からもプレゼントを渡されました。お二人とも、非常に照れてらっしゃいましたが、嬉しそうな表情を浮かべられました。ちなみに、後日、YさんとSさんに佐藤ご夫妻からどのようなプレゼントをいただいたのかをお聴きしたところ、きれいな写真付きのハガキだったようです。Yさんは「あまりにもステキなハガキなので、使わらないで宝物として大切に保管しておきます」と言われていました。Sさんは「自分が食事会で花が好きで、特にひまわりが好きと話したのですが、ハガキの中にひまわりの写真もありました。驚きました。きれいな写真ばかりでしたので、いつでも見れるために部屋の壁に貼って眺めています」と話されました。
※砥部焼 唐草文 五寸皿
小鹿田焼 坂本浩二窯 抜き飛び鉋 七寸深皿
また、Yさんから佐藤さんに誕生日祝い、Sさんの還暦祝いのプレゼントを渡されました。Yさんは本当に気配りのある方ですね。
法人から佐藤さんの誕生日祝いおよび理事就任祝いのプレゼントとして、琉球ガラスをプレゼントさせていただきました。ガラス工房清天・松田清春さんのサマーモールグラスです。食事中にサマーモールグラスを使われていたこともあって、「こんなに素晴らしい、きれいなグラスをありがとうございます」と非常に喜ばれました。後日譚ですが、佐藤信行さんはパーティー終了後、ご自宅でサマーモールグラスを使って美味しい焼酎を召し上がったようでした。民藝を日々の生活で使っていただくことの嬉しさと共に、民藝は「用の美」です。使ってこその「民藝」です。佐藤信行さんが使われることで、美しさはさらに磨きがかかるのではないでしょうか。
次に、Yさんと佐藤さんの誕生日を祝って、みんなでハッピーバースデイの歌を歌い、ローソクの火を消していただきました。みなさんでケーキを分け合い、美味しくいただきました。
プレゼント・コーナー終了後、第一部食事会を済ませ、第二部カラオケ大会のため、カラオケ店に移動することになりました。
第二部はカラオケ大会です。グループホームから徒歩7分にカラオケ店があり、イベントではいつも大部屋を使って盛大に楽しんでいます。今回もその大部屋をお借りして、14時30分よりカラオケ大会を開催しました。
当法人は入居者も役員および正会員の方々も「共に楽しむ」というスタンスをとっており、遠慮なく、歌いたい方が率先して歌っていただくことになっています。入居者の方々も一緒になって楽しく過ごしていただける役員および正会員の方々が好きなようです。しかも、新理事の佐藤信行さんは、恥ずかしくて、あるいは照れくさくて今一歩歌うことを躊躇われている入居者の方々が「僕も歌ってみたい」「佐藤さんのように楽しく歌いたい」と思えるような盛り上げ方をしてくださるのです。心から楽しんでいる姿を入居者の方々に見せていくことは、非常に大切なことなのだと感じる次第です。
さて、トップバッターは、今年還暦を迎えたSさんです。Sさんはこの日のために、お祝い直前まで歌の練習をされていたようで、それを披露できる絶好のチャンスです。ちなみに、Sさんが働かれている作業所では、7月25日にカラオケ大会が開催されるそうで、Sさんにとっては今日のカラオケ大会はその日のための前哨戦と言ってもいい日です。Sさんは、まず、大好きな西城秀樹の歌を歌われました。次の番では、最近ひそかに練習をされていた美空ひばりの「川の流れのように」を歌われました。私たちも好きな歌でもあり、Sさんを後押しするために「川の流れのように」のフレーズでは一緒に合唱しました。Sさんはいろんな歌をチャレンジすることが多いのですが、カラオケはストレスを発散するだけでなく、脳の活性化、脳の記憶力を保つためにも非常に良い効果があります。一人カラオケも楽しめ、さらにみんなで楽しむカラオケも好きな方です。「うまく歌いたい」という願いがある方ですので、今後好きなことを続けていただきたいと心から思っています。
Yさんは歌うだけなく、パーカッションで人の歌を盛り立てる役を務めてくださっています。リズムをとってくださるので、非常に歌いやすいです。個人的に歌が好きで、ライブに行ったりCDで音楽を聴かれたりします。ジャンルも幅広く、時々、クラッシック音楽を聴きに行かれます。ボランティア活動だけでなく、趣味も多彩です。毎日が充実なさっており、私たちも安心してYさんを支えることができています。
新理事の佐藤信行さんは理事長の私と一緒に歌を歌い、場を盛り上げてくださいます。私も佐藤さんと歌っている時は心が解放されるくらい、のびのび、楽しく過ごすことができています。佐藤さんには心から感謝申し上げます。
第二部のカラオケ大会は2時間で終了しましたが、時間を忘れてしまうくらいの楽しい会でした。次は忘年会あるいは新年会でまたみんなと盛り上がりたいですね。
みなさん、本当にお疲れさまでした!