今まで、親御様との交流も含めて、土曜日はお家で「お泊り」をしてきましたが、親御様が高齢ということもあって、昨年の暮れから週7日の泊りになりました。はじめて年末年始を縁パワーのグループホームで過ごされることになったのです。
もちろん、親御様にとっても、Cさんにとっても、お互いの様子がきになりますし、何よりも、親御様との「交流」は双方にとっても「生きる糧」になります。したがって、ご要望に応じて「面会」の機会を設定するようにしています。
Cさんの場合は、面会の仕方が複雑で、お父様の事情もあって、お母様が代表で面会をされていました。今年の10月19日には、Cさんのお母様は弟様と一緒に面会に来られました。以前から、Cさんの送迎で弟様とお会いする機会はありましたが、面会のご様子では、兄のCさんを心配なさっている姿が印象的でした。Cさんが今年の2月に入院されたこともあり、退院後も弟様は気にされていたようでした。4月上旬に退院され、グループホームでの生活や、6月以降のデイサービスや、リハビリなどの取り組みでだんだんと回復され、安心されたようでした。
お母様はその後も介護サービスの契約や取り組みや、障害福祉サービスの関係でグループホームに来られた際、息子のCさんの面会をされていました。心配そうに息子のCさんの手を握られる姿が印象的でした。Cさんもお母様とお会いできた安心感なのか、表情も落ち着いていらっしゃいました。ご家族の面会の大切さをあらためて思いました。
ただ、気になっていたのが、Cさんのお父様です。Cさんと同様、身体的な事情で頻繁に外出が難しい状況でした。そんな時、Cさんの通院で利用させていただいている介護タクシーの事業所が、お父様が通院される際の介護タクシーの事業所であったこともあり、さらにその介護タクシーのFさん(前社長)がとても親切で、情熱的な方でありましたので、こんな提案をさせていただいたことがあったのです。
「今までお母様や弟様が面会に来られたことはありましたが、お父様はございません。Cさんをとても愛してこられたお父様もCさんのことを心配なさっていると思います。一度、グループホームにお越しいただいて、Cさんの様子を見ていただきたいと考えています。12月はクリスマスです。クリスマスプレゼントというかたちで、お父様とCさんの交流していただく企画を実現したのです。介護タクシーでお願いできないでしょうか」
と、介護タクシーのFさんに率直に思いを伝えると、
「それは素晴らしい企画ですね。ぜひお手伝いさせてください」
と快く引き受けてくださいました。
そして、2023年12月23日(土)の14時にはじめてご両親との面会が実現できたのです。介護タクシーのFさんには心より感謝申し上げます。
クリスマスイブの前日でしたが、Cさんが大好きなケーキも用意して、ご両親をお迎えいたしました。前日からお父様とお母様が面会に来られるということをCさんにお伝えしていました。
当日も繰り返しお伝えしていたこともあり、面会時間の30分前になった時に「もう出かけた」という言葉を私に発していらっしゃいました。何かを身体的に感じられていたのかもしれません。とても不思議な会話でした。「そうですね、もうそろそろ来られますよ」と返してから、Cさんをベッドから車いすに移乗させていただき、お部屋の窓からご両親が面会に来られるのを待っていただきました。
14時になった頃、Fさんの介護タクシーでご両親がグループホームへ来られました。Cさんは1年ぶりにお父様とお会いできたので、少し緊張気味でしたが、ご家族の時を過ごされるうちに、お父様やお母様の「頑張っているか」という問いかけに、Cさんのなりの言葉で「頑張ってる」と嬉しそうに応えられていらっしゃいました。そのCさんの言葉に嬉しそう親御様の表情が印象的でした。
お父様もCさんと久しぶりにお会いできたので、Cさんの右手をずっと握られていました。お父様は大変幸せそうな表情をされていました。介護タクシーのFさんは「いつも送迎でお父様とお会いする機会がありますが、こんな素晴らしい笑顔を今までみたことがありません。本当に嬉しかったのでしょうね」と帰り際に私に話してくださいました。
「この企画が実現できて、本当によかった」
と、私はここからそう思いました。
面会が終了し、ご両親は介護タクシーに乗られ、Cさんはグループホームの庭に出られ、ご両親に手を振って見送りました。介護タクシーがCさんを通り過ぎるやいなや、なんと、Cさんの目に涙がたっぷりと浮かび、涙がポロリと頬に落ちたのです。Cさんのこうした姿を見たのは、はじめてのことでした。Cさんの気持ちが別れ際にあふれて出たのだと思います。障害のこともあって、言葉も振る舞いもうまく表現することが難しいですが、「すべてわかっているんだなあ」とあらためて気づかされた瞬間でもありました。
感慨深い面会でした。
こうした面会の機会は、今回を契機にまた増やしていけたらと思っています。いや、していかなければいけないのだと、心に硬く決心した日でもありました。
面会を実現させていただいたCさん、Cさんのご両親、介護タクシーのFさんに、心より感謝申し上げたいと思います。
ありがとうございました。