新年のあいさつ
~しめ飾りに願いをのせて~
理事長 山田 育男
明けましておめでとうございます。
2023年が幕を開けましたね。
当法人は2015年に産声を上げてから、昨年の11月で7周年を迎えました。グループホームを運営してから今年の2月で満7歳です。早いものですね。開設の年から入居されている方々がいらっしゃいますので、当法人は入居者たちに励まされ、成長した7年といってもよいのかもしれません。利用者さんは40~60年間、ずっと親御様と一緒に過ごされてきた方々ばかりです。
そうした方々が、ある日突然、はじめて出会った人たちと一緒に暮らしていくわけですから、不安なことや寂しかったこと、辛かったこともあったと思います。入居されている方々は、そうした状況を乗り越え、現在もなお、私たちが運営するグループホームで安心して過ごしてくださっています。もう感謝しかありませんね。
入居者一人ひとりのキャラクターもステキで、とてもやさしい人たちばかりです。グループホームだけでなく、一般就労や作業所などの日中活動では安定して通勤・通所しています。それに食欲も旺盛で、当法人が提供する食事も喜んで食べてくださっています。
料理は安心感や信頼関係がなければ食べていただけない行為です。それを毎日食べてくださっていることが、とても嬉しいです。考えてみれば、利用者さんが毎日食べてくださったことによって、むしろ、私たち法人が鍛えられ、成長させていただいたのだと思っています。
この場を借りて、あらためて利用者さんに心より感謝申し上げます。
新型コロナウィルスという疫病が世界中に蔓延して3年が経過しました。変異株の影響もあって、いまだ収束する気配が感じられません。
とりわけ、小規模のグループホームではソーシャルディスタンスが取りにくい空間であり、職員および利用者さんが日々の感染対策に全員で協力する体制がなければグループホームの運営が保てません。職員および利用者さんは、お仕事や日々の生活にお疲れのことと思いますが、今日まで、そしてこれからも、日々の努力によって、私たちの「居場所」を守っていかなければいけません。
今後ともご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
毎年の12月になりますと、正月に向けたしめ飾りを購入しています。かつて日本民藝館に所蔵された「しめ縄」の造形美に魅了されたこともがあって、毎年12月に民藝店へ行って全国で作られている「しめ飾り」を購入しています。最近では、森須磨子さんの『しめかざり』(工作舎)という写真集を拝見してから、さらに「しめ飾り」への思いが強くなってきました。
森さんが書かれているように、「しめ飾り」は「新年の願いを結ぶかたち」です。その年をどう迎えたいのかという願いから作られているものなのです。
しめ飾りは、正月にトシガミ様を迎える準備として、玄関、神棚、台所、床の間、勝手口、自動車などに飾ります。飾る場所によって、様々な種類があります。
私たち法人は、たんに形式的な「しめ飾り」を飾るのではなく、わたしたちの「思い」を託すために「しめ飾り」飾っています。いくつか紹介したいと思います。
2023年の玄関に飾っているものは、徳島県で作られた「宝船」(1枚目の写真)です。「厄」流して「福」を呼ぶしめ飾りと言われています。「宝船は、帆掛け船に七福神や米俵、千両箱を乗せた縁起物」(前掲書)です。
まだまだ収束することのない疫病に対して、「厄」を流して「福」を呼んでいただきたいという願いを玄関口に託しました。また、少しずつですが、当法人の運営するグルーブームも栄えていきたいという願いも込めています。
玄関を開けた正面には「ブッチガイ」と呼ばれる静岡県の御殿場で作られた「ハサミ型の正月飾り」(2枚目の写真)です。
森さんによれば「挟みで何かを『切る』という行為は、神話世界では断絶や終焉」を意味します。つまり、このしめ飾りは「厄災を断ち切るブッチガイ」なのです。御殿場にある神場山神社(じんばやまじんじゃ)が挟みに深い関りをもっており、神社には厄病を断ち切るというご利益があるとのことです。ちなみに、「ブッチガイ」は、(森さんの推察によれば)「打っ違い(十字形に斜めに交差させること)」からきたそうで、厄災、悪縁、悪疫などを断ち切ると言われています。
すべて造形の美しさに魅了されたこともあって、現在も飾り物として展示しています。いずれにしても、すべてのしめ飾りには新年への「願い」が込められています。しめ飾りは、当法人にとって新年を迎えるための「願い」や「目標」をかたちで示す大切なものであると思っています。
今年もよろしくお願い致します。
特定非営利活動法人縁パワー
理事長 山田 育男
2023.1.3