軽度の知的・発達障がい者の生きづらさ
縁パワー正会員・坂内孝雄さん
15年以上前から、私はNPO法人TENOHASIの活動(炊き出し)に月2回参加するようになりました。池袋を拠点にしたホームレス支援は、夜回りをしたり炊き出しを呼び掛けたりしながら相談を受ける活動です。
ホームレスの方に①シェルターに泊まってもらう(アパートまで行くまでに時間がかかるので)、②福祉事務所へ行って生活保護の申請手続きの手助け、③自立支援制度に入ってもらう、など、社会資源へとつなげていく活動です。
しかし、いくらアパートにつないだからといって、問題は解決しない。つまり、入居後にギャンブルをやったりアルコール依存になったりして、最悪の場合は失踪、再路上化するケースがあるので、そのアフターケアが大切なのです。
私が支援する当事者のほとんどが高齢者でした。しかし、「年越し派遣村」以降、40代以下の若者を生活保護の申請へとつなぐケースが多くなりました。
注目しているのは「家出をしてきた障がい者」です。愛の手帳4(軽度)を持つ障がい者の方は当事者が「悪しきスパイラル」に嵌っていく構造を持ち、本人が「生きづらさ」を感じているということなのです。
それは、①障がいを持つ当事者の親が本人の年金を持っていってしまう、②自分では何もできないから家にいることができずに家出をしてしまう、③ホームレス状態へ、④支援者が夜回りで声を掛けても、自分の「生きづらさ」が複合的にからんでいるためにうまく言葉にできない、⑤親が捜索願を出している、⑥家に戻されてしまう、⑦家にいて年金を自由に使えないから生活が自由にならない、⑧また家出をしてしまう、などといったスパイラルに嵌ってしまうのです。
極端な例ですが、「委任状」を持っていけば、親や親戚が当事者の年金の手続きができるために、親族における「年金の奪い合い」が起きる。だから、何度も何度も解約しなければならず、結局、本人の手元に「年金」が届かないという事態が生じてしまうのです。また法的根拠のある後見人を付ければよいかというと、それもうまくいっていないのです。
コメントをお書きください