正会員・佐藤信行さん
高齢者グループホーム支援員
社会福祉士・介護福祉士
今想えば、私は学生時代に「日本の宗教風土」というゼミで利用者さんと関わる時に心掛けるべき指針となる言葉「惻隠」を学びました。
惻隠とは、山本常朝(1659~1719)の著した「葉隠」に記されています。常朝は佐賀鍋島藩士。主君の死を悼み出家し山里の庵で仏道、士道、教訓等を筆録しました。その内容を同藩士 田代陣基が編纂したものが葉隠です。
惻隠の意味を辞書で調べると「儚いものを、憐れる気持ち。小さいものを、慈しむ気持ち」とあります。葉隠では、惻隠を武士道の奥義と説いています。「・・・大きな声の中に隠れる小さな声もある。より多くの意見に耳を傾け自分の慈悲の道理に沿うものを選び出すためにも考え続けなければならないことがある・・・何事も親のため
また多くの人々のため子々孫々のために成すべきである・・・これこそ大慈悲である。慈悲の心から出てくる知恵や勇気が本物なのである・・・慈悲の心をもって自他を罰し、慈悲の心をもって働く時・・・人は限りなく強く正しい・・・」
ゼミでは、『「葉隠」は新渡戸稲造の「武士道」に並ぶ名著です。皆さんの人生の道標となる書物です・・・』と学びました。私の支援員としての振る舞いは惻隠に遠く及びませんが、目指すべき指針として常に意識していたいです。
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