2017年11月2日は、特定非営利活動法人縁パワーの2周年記念日です。法人の理事及び正会員の皆様や、私たちの運営する障がい者グループホーム「縁パワーハウジング・ウェイ」の入居者の方々及びそのご家族様、そして、地域の関係機関の方々の応援や支えのおかげで、当法人が設立して2年が経過したのだと実感しています。
2014年11月29日、公益社団法人福岡県人権研究所からの依頼があり、福岡市人権啓発センターにて「出口から問い直す進路保障」という講演(教育部会・啓発部会・ジェンダー部会共同企画)をさせていただきました。私はこの講演を通して、今まで学校現場や生活困窮者の支援、そして障害者の方々とのかかわりから学び、実践してきたことを言語化することができました。と同時に、福岡での講演に参加してくださった方々の活気あるご意見をお聴きし、あらためて「人権意識」の大切さが問われ、今後「何をなすべきか」を思考する日々が続きました。
私は、講演から多くの刺激を受け、多様なシステムと地域ネットワークづくりを中軸に据えて実践してきた任意団体「生活困窮者連絡協議会」を新たな実践運動として展開していくため、NPO法人格を取得することを決意し、2015年11月2日、「特定非営利活動法人縁パワー」(以下、縁パワーと略す)を設立したのです。
縁パワーの名称には「人と人との縁やつながりを大切にすることで多くの力を生み出し、個人では解決できない社会的な問題を共に解決していたきい」という願いが込められています。
当法人の設立時には、福岡教育大学大学院時代に大変お世話になった福岡県人権研究所・教育部会の方々が理事及び正会員としてかかわってくださいました。そればかりでなく、私が生活困窮者支援にのめり込んでいくきっかけを与えてくださった方々も、理事及び正会員になってくださっています。今まで培ってきた人間関係や良き仲間との出会いなくして、実践運動としての母体である「縁パワー」は設立できなかったと思っています。
そう、様々な方々との「縁」のパワーがあってこそ、ですね。
この場を借りて感謝申し上げます。
さて、当法人は大学での講演及び講義等の活動をしながら、具体的な事業に着手しました。それが「障がい者グループホーム」の運営です。東京都武蔵村山市を拠点にグループホームを開設してもうすぐ2年が経過します。縁パワーは「社会的に不利な人たち」の「安定した住まいの確保」と「安心して働き続けられる就労の創出」を主軸に据えており、当面は「障がい者の住まい問題」に取り組むことを考えたのです。その理由は「障がい者の入居差別」の問題だけにかぎりません。両親が高齢を迎え、将来的に自分の息子及び娘の生活が不安だったり、障がいを持っているために一人暮らしでの生活が困難だったり、親から虐待を受けていたり、就労は可能だが生活の援助が必要だったり、様々な理由でグループホームを利用する方々がいます。すべての人間には人間らしく生きる権利があるわけですが、何らかの事情で「生きる権利や尊厳」が奪われている方々に「人権」を取り戻すことが必要です。「障がい者の住まい問題」に取り組むことは、それゆえ、「人権意識」が問われているのです。「人が大切にされる住まいと暮らし」を守ることは、たんなる「生活の器」を守るだけでなく、「生存権と尊厳」を保障することなのだという自覚を持つことなのだと思うのです。
縁パワーの活動はそうした実践の足場を持つだけではありません。「差別や偏見をめぐる様々な問題」に対する啓発活動にも力点を入れており、講演及び講義だけでなく、当法人のホームページ及びブログ上での発信力も高めていきたいと考え、理事及び会員の方々にも積極的に寄稿していただいています。障がいの分野だけでなく、子ども・若者、生活困窮者、認知症の高齢者など、幅広い分野でご活躍なさっている方々の「声」は貴重です。ぜひ当法人のホームページにもアクセスしていただければ幸いに存じます。
小規模型の障がい者グループホームを地道に取り組んでいくことが大切な一歩だと信じ、今後も真摯に取り組んでまいります。近い将来、もう一つのグループホームのを建設できる日が早い段階で迎えることができるよう、日々、精進してまいりたいと存じます。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
特定非営利活動法人縁パワー 理事長 山田 育男