2018年3月10日(土)、のぞみ福祉園にて「のぞみ祭り」が開催されましたので、入居者と一緒に参加してきました。障がい者グループホームを運営した際には入居者と共に参加したいと考え、個人的に「のぞみ祭り」は当法人が設立する前年に見学へ行き、それ以降、毎年、足を運んできました。
今年の「のぞみ祭り」の参加はこれまでと目的が違っていました。それは、「のぞみ祭り」に当法人の運営するグループホーム入居者が出演することになったからです。以前にもホームページには、手話サークル「手話(てわ)の会」で取り組んでいる入居者のAさんをご紹介したことがありますが、そのAさんが「のぞみ祭り」の開会式に手話のお手伝いをするということになりました。
そのことについては、グループホームの夕食の場で話題になり、共に暮らすBさんも「Aさんの活躍を自分も見てみたい」と話されていましたので、「それでは一緒に観に行きませんか」と提案したところ、ニコッとした笑みを浮かべて「ぜひお願いします」と応えられました。そのやりとりを隣で聞いていたAさんは非常に嬉しかったようでした。自分が取り組んでいることに関心を寄せる人がいるということはそれだけでも嬉しいことですが、共に暮らしているBさんから言われたことですから、なおさら、嬉しかったのでしょうね。今週の夕食では毎日のようにその話題が交わされ、夕食も盛り上がっていました。
さて、のぞみ祭りの当日、開会式のため、Aさんは打ち合わせもあるので、早めに出かけました。Bさんと私は開会式に必ず間に合うように、少し早めに出かけることにしました。自動車で行ったので、10時の開会式の30分前に到着したものですから、「時間もありますので、少し散歩しませんか」と提案したところ、「歩くのは嫌いではないので、いいですよ」とBさんは私の提案に快く応じてくださいました。Bさんとは武蔵村山市周辺の散策をしたことがありませんでしたので、「近くに七所神社がありますので、一緒にお参りに行きましょう」とお伝えし、いろんな話をしながらゆっくり神社へ向かいました。
七所神社は武蔵村山市本町にある神社です。創建年代等は不詳とのことですが、「新編武蔵村山風土記稿」に「七所社」と記載されており、江戸時代にはすでに「七所社」と称されていたようです。明治40年に愛宕社・八幡社・諏訪社・八坂社を合祀したといいます。
ちなみに、「七所神社」には興味深いものがあります。今まであまり意識したことがなかったのですが、武蔵村山市の民俗資料・郷土資料を読んでいた過程で関心を寄せるようになりました。それは、以前には「吉祥院」にあったとのことですが、現在は七所神社の中に「伝説の石」があります。「仕置石(シオキイシ)」と言われる石です。この石は「罪人を仕置きするための石」であったようで、以前から私は非常に気になっていました。
ちなみに、『武蔵村山の民俗』には「二つの石の伝説」と題され、「ゴハンの石」と「シオキイシ」について簡単な説明が書かれています。「ゴハン石」は本町三丁目と本町四丁目の境にかつて「高札場」があったようで、その掲示板の下に石がふり、これを「ゴハン石」と言っていたそうです。かつてはこの石に乗って高札を張っていたようですが、この「ゴハン石」の三つを挟んだ向かい側に役人が常駐する「番小屋」があって、その人が知らせを張り出す役目をしていたといいます。それで、「ゴハン石」にいた役人が仕置のために使用していた石が「仕置石」だそうです。私はこの「二つの石の伝説」が非常に気になっており、様々な文献資料を読んで、私なりの「解読」を試みたいと思っていて、当法人のホームページの「ムレヤマ伝説の謎」という文章を書かせていただいているのですが、その論稿に詳細な考察をしようと思っています。
横道に逸れましたが、Bさんと一緒に「七所神社」にお参りをし、神社にある「仕置石」を拝見させていただいた後、「のぞみ祭り」へ向かったのでした。
今回の「のぞみ祭り」は雨の状況も踏まえ、室内での開催になりました(ただし、外に出店はございました)。開会式の部屋に入ると、Aさんが緊張した表情で式のはじまりを待っていました。Bさんと私はAさんの近くに寄って、「お疲れ様です。晴れ舞台を見にきました」とお伝えすると、Aさんはニコッとした表情で「わざわざありがとうございます」と頭を下げてくださいました。
10時に開会式がはじまり、いよいよAさんの出番です。司会の方が進行を進めと、Aさんは司会の方の言葉に合わせて「手話」をはじめました。スムーズに事が運んでいるかに見えましたが、Aさん曰く、「緊張もしましたが、話す言葉が早かったせいで、手話が追いつきませんでしたね」と式が終わった後、残念がっていました。
でも、Aさんの手話についてBさんは「こういった緊張する舞台で手話をやれること自体がすごいって思います。頑張ってらっしゃるのですね。Aさんの取り組みを目の前で見せていただいたことが何より良かったです。ありがとうございました」と感謝の気持ちを述べられていました。
Aさんもグループホームに一緒に暮らしている仲間がはじめて見に来てくださったことに感謝の気持ちを伝えられていました。すばらしい関係ですね。そして、Bさんは「こういう場所に連れてきてくださって、本当にありがとうございました」と深々と頭を下げて気持ちを伝えてこられたので、「いやいや、こちらこそ、Bさんと一緒に祭りに来れたことが何よりの幸せです。ありがとうございます」と私はBさんに対する心からの感謝の気持ちをお伝えし、出店で売られていたパンやケーキ、クッキー、そして焼きそばを購入してグループホームに戻りました。
とても楽しく、あたたかい心にしてくださった日でした。