シュタイナー人智学を考える　０

認知症高齢者グループホーム勤務

　社会福祉士　佐藤　信行

　ある歴史家によれば、近代史をフランス革命(1789年)から第一次大戦勃発(1914年)までと定義し、これを[長い19世紀]と称するそうです。自由、平等、博愛を掲げ封建制度を打倒した欧州の人々は、合理主義と理性と科学力を駆使して世界を幸福に導くべく努力しました。しかし、100年に渡る啓蒙思想的欧州秩序体制下で第一次大戦を惹き起こし、戦車、大砲、機関銃、毒ガス、航空機、潜水艦　等の各種大量破壊兵器を用いて数百万人もの犠牲者を出し、大きな心的外傷を遺しました。ルドルフ　シュタイナー(1861年から1925年)は、この時代のオーストリアに産まれ、学門・宗教・芸術の統合を唱える[人智学]を創始した神秘思想家です。

私は、現代の合理主義と理性と科学力を駆使した結果、顕在化している諸問題を思考する際に、先人の智恵から学ぶことが必要と考え、近代から現代の苦悩の時代と格闘したシュタイナー人智学を選びました。現代(2018年)と第一次大戦前がオーバーラップしていると感じる理由は、[歴史から学ぶ　１　ベル・エポック　2018年3月16日掲載]に詳細が記されてます。合わせて読んで頂ければ理解が深まります。

　シュタイナー人智学を考えるでは、１.人智学とは？、２.キリスト教正統派神学との関係、３.神智学との違い、４.同時代を生きた芸術家たち、５.社会有機体説、６.現代社会における実践　(以上予定)を、取り上げたいと思います。

　宜しくお付き合い下さい。

　続く