認知症高齢者グループホーム勤務
社会福祉士 佐藤 信行
シュタイナーは、社会を身体(生命を宿す有機的な存在)と捉え、法=国家生活、経済生活、精神生活の三つに分けました。法=国家生活の活力には平等、経済生活の活力には友愛、精神生活の活力には自由が、それぞれの源となります。法=国家生活とは、(司法・立法・行政)を意味します。精神生活とは、(哲学、信仰、健康、奉仕活動、趣味、芸術、スポーツ、レジャー、ライフワーク、生きる意味を思考する、家族との団欒、友人との語らい 等)を意味します。健康的な社会は、公共の福祉に反しない範囲での、法=国家生活から解放された自由な精神生活が基盤となり、その上に友愛を活力とした経済生活が据えられ、法=国家生活が憲法に基づいた平等を保障する姿と考えました。これを、社会有機体説と言います。
しかし、現実の社会は、自由を活力とした経済生活が基盤となり、法=国家生活(司法・立法・行政)が自由競争を加速させる経済生活を保障した治世を行い、最優先すべきの精神生活は空念仏のお題目となり隅へ追いやられてます。結果、経済生活は、自由競争弱肉強食の原理が徹底され、強い者はより強く、弱い者はより体力が削がれ国内外で貧富の格差が広がり、経済生活の本来の役割である民への最低限の衣食住すら満足に保障できないほど、社会は深刻な病に罹患してます。
経済生活は友愛を活力の源とすべきです。しかし、友愛よりも自由を尊び、競争に勝利するために経済効率が最優先され、精神生活を犠牲にすることも厭わないことがあたりまえとなってます。これが、新自由主義経済の正体であり、民に精神生活の犠牲を強いるシステムであり、現在この国はひたすらこの道を突き進んでいます。