ギフト　失って得られる素敵な贈り物

 

 

　認知症高齢者グループホーム勤務

 

　社会福祉士　佐藤　信行

　私は、９人の認知症高齢者が共同生活を営むグループホームに、介護職員として勤務しています。入居されている方々は様々な経歴をお持ちです。

　男性入居者のAさんは、絵を描く時に素敵な色使いをされます。私は、Aさんのパッと目に入る鮮やかな色使いが大好きです。Aさんはクレヨンを自在に操り数々の作品を描いています。私が寄稿する原稿の写真に用いられている絵画は、グループホームの入居者さんの作品です。勿論A さんの作品もあります。

　シュタイナーは、「見えない世界の法則を、感性を磨いて感じ取り、見える世界で役立てて、より善く生きる」ことを説きました。パウル・クレーは、「芸術は、見えないものを見えるようにする」絵画を実践しました。

 

Aさんの作品で用いられている独特な色使いは、その対象物の本質を、Aさんの感性で感じ取り描いたものと解釈します。私は、特に脳に障がいを持っている方は、特別な感性を備えていると捉えています。ある機能を失うことにより、それを補う別の能力を有するようになると解釈します。普通の人が努力して磨かれる感性を、失った機能と引き換えに、神さまからの贈り物を得ることもあると推測します。

　私は、Aさんの作品から元気を感じます。それをプラスのエネルギーと表現することもできます。その効果は、言語で説明できるものではなく、感じるものです。正に、[Don't  think .Feeling .]です。

　貴方も、A さんの作品から何かを感じてみて下さい。