相反する要素を共存させるには?
社会福祉士 佐藤 信行
脳の血管障害は「ドロドロした血で血管が詰まる脳梗塞」と「血管が切れて出血する脳出血」の2種類あります。齢80になる右麻痺の父は、脳梗塞にならないように血液をサラサラにする薬を飲んでます。最近、父の頭の中で出血して血腫(慢性硬膜下血腫)ができてることが判り、出血を止めるために血液をサラサラにする薬を飲むのを暫く中止することになりました。しかし、血液をサラサラにする薬を飲まないと血管が詰まる脳梗塞のリスクが高まります。
つまり、血液をサラサラにする薬を飲めば出血する(血腫が増大する)リスクが高まり、飲まなければ脳梗塞を起こすリスクが高まります。父の脳は、薬が及ぼす相反するリスクを解消するには?の問いに晒されてます。
良い刀剣の条件は、よく切れて錆びないことです。よく切れるためには鋼材に炭素が沢山含まれていることが大切です。しかし、錆の原因となるのは鋼材に含まれた炭素です。つまり、よく切れて絶対に錆びない刀剣は存在しないのです。良い刀剣の条件は?の問いもまた、相反する要素の共存です。
脳血管障害も刀剣も、ギリギリの状況で命のやりとりをする問いです。命に関わる問いなので虚構は成立しません。徹底的に虚構を排して最善の解を導かねば落命につながります。
私たち21世紀を生きる人類に、神さまから「地球が22世紀を迎えるため、あらゆる課題の、相反する要素を共存させるには如何にすべきか?」の問いが課せられているのではないでしょうか。環境やエネルギーの問題を考える時、また自由や権利や平等について考える時、私は脳血管障害や刀剣の問いに対する心構えや思考の回路の中に、解を導くヒントがあると思います。
脳血管障害の父は、処方箋に漢方薬を用いることになりました。西洋科学の先端医療で解決できない問いの解を、漢方薬という東洋思想が鍵を持っていたのは意味深いメッセージと感じました。年老いた身になっても挺身して私に教えてくれる父に感謝です。