直観(マニュアル化できないスキル 2)
社会福祉士 佐藤 信行
盟友山田氏との交流の中で「直観」という言葉を与えられました。これは天啓です。
実は、前回の投稿で「マニュアル化できないスキル」を論ずることは冒険でした。私は、マニュアルを「誰がやっても同じ結果になるもの。」と定義しました。今回もう一つ「マニュアルとは、方法を共有するため、方法を解体し意味付けして、再び組み立てるもの=方法を言語化すること。」と定義を試みます。よって、マニュアル化できないスキルを論ずるとは、言語化できないことを言語化する作業となります。他者と情報や方法を共有する時、情報や方法を言語化することは必須です。他者にマニュアル化できないスキルを伝えるとは、言語化できないスキルを言語を用いて伝える二律背反の命題の解を求める作業です。
人は、事象を認識する時に五感を用います。すなわち視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚です。事象を言語化することにより視覚と聴覚、場合によっては触覚から情報を共有できます。もちろん嗅覚や味覚で得た情報も言語化して伝えることも可能です。また、人は時間と云う五感で捉えることができない事象を、暦と時計という道具を用い言語化して共有しました。五感と道具を用いれば事象は言語化できるならば、五感と道具を用いても言語化できないものが、マニュアル化できないスキルとなります。それが六番目の感性 直観(直感)です。
直観は、直観故に、その根拠を言語化できません。しかし、直観は人の能力の中で最高位に位置する能力です。私は、対人支援の場で直観は重要なスキルと捉えています。理由は他者の心の内を推察するのに必要だからです。しかし、直観を得る方法を他者に伝えることは困難です。ただ一言「感性(センス)を磨く。」としか言えません。ブルース・リーは映画の中で格闘技の弟子に「考えるな、感じろ。」と伝えます。格闘技では、感性や直観が重要なスキルである証です。感性を磨くには、優れた芸術作品を鑑賞するのも有効です。私は、芸術とは見えないものを可視化するものと捉えています。
対人支援でも、内省と共に直観は重要なスキルですね。