信州鉄道の夜 3
社会福祉士 佐藤 信行
「文化って言うものはな、箱の中に入れて大事に押し入れに仕舞っ
師匠の言葉です。僕は10代後半から、20代前半にかけて芝居の勉強をしていました。稽古の後に、師匠に連れられて居酒屋(20代です)で、師匠の説教を聴くのが楽しみでした。師匠は、郷
信州松本民藝の旅は、忘れかけていた師匠からの学びを僕の中で覚醒させてくれました。民藝とは正に、先達から継承した文化風俗を、日々の生活の中で実際に営むことひそが次世代への継承となり、人を育て、土地の豊かさの拠り所となる実践です。共に営むことが、人を育て、土地の豊かさに蓄積され、人と人、人と物との関係性の中でこそ豊かさは得られると、民藝は教えてくれます。
人の営みを支える道具にこそ美が宿ります。それは、道具が人と人との関係性の橋渡しを担っているからです。家族のために料理を作
道具を祭り上げて人が道具の価値を支えるのではなく、道具は人の営みを支え幸せを創る存在です。
「文化っていうものはな、箱の中に入れて大事に押し入れに仕舞っ
師匠の声が、信州松本の夜空を見上げた時に、星の瞬きとともに僕