8050の処方箋を考える
~善い大人たちとの出逢い 7~
理事 佐藤 信行
10年振りの母校は、より近代的な装いを纏っていました。タイムマシーンがあれば、バックトゥザフューチャーの様に、あの頃の自分にいろいろアドバイスしたいな、と思いました。科目履修の卒業生社会人枠の身でしたが、在籍中は、全ての科目を履修する権利があり、僕は10年前に「可」の評価がついた科目を再履修して授業に臨みました。あれ程勉強嫌いだった僕は、自分でも驚くほど真剣に取り組み、初めて学ぶことの楽しさに触れました。特に、神学の学びに興味があり、この時に多くの牧師の卵たちと懇意になりました。
中でも面白かった授業は、日本の宗教風土 1、日本の宗教風土 2でした。教授の専門は比較文化研究で、様々な宗教や文化を取りあげて学びを深める講義です。日本の宗教風土 2の方はフィールドワークで、2000年に上野で世界四大文明展が企画された時、4週にわたり土曜日に現地集合で文明展鑑賞しました。鑑賞の後は建物に併設されている喫茶室でお茶を飲みながら懇談しました。また、夏休みは4泊5日の行程で、伊勢神宮、天理、高野山、奈良橿原の研修旅行をしました。
在学中に学びを深める過程で発見したことは、僕の卒業した中高一貫の全寮制私立学校の教育理念は、シュタイナー教育の影響を受けていることを指し示す文献が見つかり、僕の今日の人格形成にシュタイナー哲学が影響を与えていることです。シュタイナー哲学については、縁パワーホームページの会員投稿(2018年3月27日~4月13日)、およびブログに掲載されているので、興味のある方はご覧下さい。
斯くして、プロテスタント神学と、プロテスタント神学から見て異端のシュタイナー哲学の双方が、僕の中に混在することになりました。
社会人入学して一番の収穫は、勉強嫌いの僕が、三十路過ぎて驚くほど真剣に学びに取り組めたのは、その学びの内容に興味があるから、好きだからでした。今思えば、10代の頃不登校の僕は勉強が嫌いだったわけではなく、興味のあること、好きなことが分からなかったので、勉強する気持ちになれなかったことが分かりました。人は、学ぶ気持ちがあればいつでも学べます。大切なことは、その機会を、チャンスを、タイミングを自分も、周囲の大人も見のがさないことでしょう。