2021年度NPO法人縁パワー総会
理事長 山田 育男
2021年6月5日(土)、NPO法人縁パワー総会を開催致しました。昨年と同様に今年も、新型コロナウイルスの関係で、当法人が運営するグルーホーム内で総会を開催することができず、スカイプでの参加となりました。スカイプでの総会は2年目ということもあって、準備に時間を要することもなく、時間通りに開催することができました。また、スカイプで遠方の会員の方々も参加することができたことは、大きな喜びでした。あらためてご参加いただいた理事および正会員の方々に感謝申し上げます。
以下では、美しく使いやすい健康的な「民藝」の写真を紹介しながら、2021年度の総会内容を報告したいと思います。
◎総会冒頭から白熱した議論に
まず、参加者の近況等を話していただいてから総会を進ませていただきました。その話の中できわめて勉強になったのが、福岡教育大学大学院時代(20年前)からお世話になっている東洋大学教授の金泰泳先生(井沢泰樹先生)のお話でした。金先生は「定住・永住外国籍住民の『「地方参政権』」について話されました。「外国籍住民の参政権の問題は地方自治の本来のあるべき姿を問う問題」であり、「外国籍住民の参政権の問題は、『多文化共生社会をめざす』ということのみならず、『どのような多文化共生社会を構築するか』を問う問題」でもあることに言及されました。また、金先生は『在日コリアンと精神障害』という本を出されています。在日コリアンの抱える問題は一側面からでは捉えにくく、複合的な問題が絡んでおり、それらの諸問題によって生きづらさを抱えていることを論じています。金先生はそのことを「在日問題」だけでなく、LGBTQの方々が抱える生きづらさと通底するのではないかと考えており、現に今年、金先生はセクシュアル・マイノリティの方々と共にイベントを開催されてもいます。
以上の金先生のお話は、ここですべてを整理することが難しい内容ですが、少なくとも当法人の設立趣旨書からもわかるように、設立当初からきわめて大切にしてきた視点であることだけは付け加えておきたいと思っています。
◎当法人の活動方針は実現できたか
2016年2月1日に障害者グルーホームを開設して以降、家族的で、あたたかいグループホームを提供することをめざし、5年が経過しました。総会では、2020年度に掲げた方針案がいかに実現できたかについて参加者の方々と確認し合いながら、進めました。
・「無理のない事業運営を心掛けていく。」
利用者さんが自分のペースで安心して暮らせ、運営側としても落ち着いて対応できました。開設当初から入居されている利用者さんたちは、健康管理や精神的な安定を図るために様々な配慮を要しますが、約5年間の積み重ねにより、見通しを持って生活をすることができるようになりました。
また、重度の障害を持つ利用者さんについては余裕を持って支援にあたるため、理事のFさんに毎回特別に1名だけメニューの違った食事をつくっていただいたことや、夕食前に排泄介助を余儀なくされた時に私に代わって2名分の食事をつくっていただきました。また、利用者さんの難しい対応に迫られた際、理事の佐藤信行さんにも相談しながら、利用者さんに合ったかかわりを検討することもできました。そうした理事間で連携し合うことができたことが、「無理のない事業運営」をすることができた要因です。
・「入居者同士が参加できるイベントを少しずつ増やし、交流を深めていく。」
年間行事は、
〇Cさんの誕生日会(5月26日)
〇縁パワー総会(6月上旬)
〇Aさんの誕生日会(7月17日)
〇忘年会(12月)→キャンセル
〇Bさんの誕生日会(1月12日)
〇節分の日(2月3日)
〇バレンタインデー(2月14日)
を予定していましたが、新型コロナウイルスの関係で、「密」になるイベントはすべてキャンセルすることとなりました。ただし、誕生日会は入居者の方々にケーキを提供することや、プレゼントを贈ることで、少しは雰囲気を味わっていただけるよう努めました。
2021年度は新型コロナウイルス問題のため、生命にかかわる問題であるため、当面はイベント等を控える必要があるでしょう。
・「利用者一人ひとりが社会参加をめざしていける機会を少しずつ増やしていく。」
◎Aさんの場合
利用者のAさんは手話サークル、災害時ボランティア活動、障害児の親の会のサポート活動、一般就労、ヨガ活動など、年度を通して積極的に活動する予定でしたが、新型コロナウイルスの関係で主だった活動には参加することができず、消化不良の年度になったと思います。さびしい思いで日々過ごされたようでした。一方、障害者雇用で働いている職場には月~金まで休むことなく通い、職場の人間関係も良好です。早く新型コロナウイルスが終息し、仕事以外の活動に取り組める日を願うばかりです。
◎Bさんの場合
利用者のBさんは作業所で最も信頼し、理解してくださっていた施設長の方が辞められ、ご本人の障害の理解をしていただいているのかという不安がありました。不安でありながらも毎日通所はしていますが、作業所の仕事や利用者さんとの関係で悩み、相談してもご本人の困り感を丁寧に聴き取ることによって何が問題になっているのか、本人がどのようなことで困っているのか、どのように解決されたいのかをわかっていただけていないという気持ちを持っています。それが「職場の雰囲気が前と変わった」ということなのでしょう。もちろん、作業所のスタッフの方々はBさんに対してきめ細かく接してくださっているかと思いますが、ご本人にとっては「わかってもらえていない」と感じているのです。グループホームとしてそうしたBさんの気持ちをまずは受け止めていく必要がありますので、相談がある時もない時も気に掛けています。
また、Bさんの年齢や障害特性を踏まえ、今までのように週5日通所することが大変になってきており、平日に休む曜日を入れて、負担のないようにしていくことをご本人と確認をとっています(2021年度からは負担のない勤務日を設定して通所されています)。
仕事だけでなく、趣味も多いので、ご本人の楽しめることを、自分のペースでやっていただきたいと思っています。現在は、新型コロナウイルスの関係で、大好きなカラオケができないようですが、お部屋で好きな音楽を聴いて楽しまれています。
グループホームではいつでも相談してくださいますので、職員としては安心です。
◎Cさんの場合
利用者のCさんは入居当初から落ち着かない日々が続いていました。連泊にも不安があり、したがって、宿泊を安定できることを目標に取り組んできました。とりわけ、夜間支援には困難な状況が続きました。
グループホームとして、安心して過ごせる環境、十分な食事や睡眠をとっていただけることを考え、サポートしてきました。
言語の数が少なく、なかなかコミュニケーションがとれずにいましたが、積極的な声掛けや、一緒に楽しむかかわりを心掛けることで、笑顔が増え、本人なりの言葉を発する機会が多くなってきました。入居者のBさんが「最近、Cさんの楽しそうな笑い声が聞こえてきますね」と理事のFさんに報告することがあったくらい、Cさんの笑顔は多くなっています。
また、一対一対応のやりとりをしている時、みずから「面白い」「(面白いという意味での)おかしい」「嬉しい」等の気持ちを伝えるようになりました。本人らしさが日常生活にあらわれてきたことは大きな一歩になりました。
Cさんの最も充実なさっているのは食事です。ただ、歯で噛むことが難しいため、食事を作る際のポイントとして、①柔らかくて、食べやすいもの、②健康的な食材で、栄養の良いものをまんべんなく入れる、③食べ物は箸で挟めるよう一口大(2~3cm)にまとめて切る、④排便のしやすい食材を入れる、等です。甘いものが大好きなので、自然に甘さを味わえる野菜をベースに作り、箸でつまんで食べやすい大きさにカットしています。また、タンパク質のものも食べていただくので、魚や厚焼き玉子、とうふ等を一口大に切って出します。8寸皿にめいっぱいおかずを並べても「美味しい」と言って完食されるので嬉しいです。
以上の食事の作り方は、当法人の理事の方々と話し合ってCさんにとって何がよいかを考えて作っており、ここでも理事間で連携し合っています。
利用者さんの実態に応じて、理事間で相談し合える関係ができていることが、何より良かったことだと思います。
・「暮らしの中に健康的な美を取り入れ、入居者がリラックスして生活できるグループホームをめざしていく。」
リビングや玄関などの共有部分のインテリアを工夫し、美しく使いやすい食器を揃え、花を飾り、健康的な暮らしのあり方を少しずつ展開することができました。今後も暮らしの中に健康的な美を取り入れ、利用者がリラックスして生活できるグループホームをめざすことができました。
・「手仕事におけるものづくり」に関連した事業を構想するための議論をしていく。
当法人の取り組みとして議論を進めていくことはできなかったですが、まずは、当法人の代表である山田が「手仕事とは何か」「ものづくりとは何か」を学ぶ機会を増やしたり、実践してみたりすることが大切だと考えました。
◎板画(版画)の制作
2020年度の試みとして、武蔵村山市の文化祭に手作りの作品を出品するため、版画(板画)の作品を作り続けてきましたが、新型コロナウイルスの関係で文化祭が中止となってしまい、出品はできませんでした。しかし(すべてではないが)、つくってきたものはグルーホーム内に飾らせていただき、展示するようにしました。
※上の写真は玄関に展示したシーサーの板画
◎陶芸の取り組み
陶芸の取り組みでは、かつて江戸時代から昭和10年頃まで武蔵村山市内に「田口窯」という窯元で火鉢を生産していたことから、武蔵村山市の土を繰り返し水簸(すいひ)して漉してつくった自前の粘土で作品を試みています。グループホーム用のシーサーを制作中でありますが、地元の粘土質の脆さから制作途中で崩れてしまうため(湯吞や小鉢などの小さな器は成形可能でした)、武蔵村山市の土100%で制作することが難しい状況です。そこで、近江の赤土10%を混ぜて粘土をつくって取り組んでいます(できれば近隣の青梅の土を混ぜたいのですが、そこまでには至っていません)。ちなみに、2019年度に制作した46cmの大壺もグループホームのリビングに展示しています。この作品は紐成形でつくっており(電動ロクロ等は使っておらず、手びねりです。また、釉薬も市販のものではなく、調合してつくっています)、陶土は益子風の土と近江土をブレンドしてつくった大壺です。
※上の写真は2019年度に制作した大壺
※下の2つの写真は武蔵村山の土およびその土を水簸して漉して陶土にしたもの
◎村山大島紬の伝統工芸士に会いに行く
武蔵村山市内の伝統工芸にふれるため、織物協同組合に通い、3名の伝統工芸士の話を聴くことができました。村山大島紬に関連して言えば、着物そのものについての需要はなくなってきましたが、民藝の染色家の取り組みを参考にすると、染色の板締め技法には可能性を見出せるのではないかと考えており、自前の藍を栽培し、どのようなものを制作できるかを検討中です。2021年度はグループホームの庭の畑でまずは藍をつくることからはじめたいです。
2021年度も継続して意識を高め、作品づくりや、かつて武蔵村山市内で取り組まれていた手仕事を深く掘り下げ、具体的に取り組みをしていきたいです(。
※上の写真は木喰上人の地蔵菩薩像を版画にした作品
※下の左写真は数年前に参加した「村山大島紬コースターづくり体験」、下の右写真は2021年度8月23日現在、グループホームの庭で育てている藍)。
※「ゆっくり、根付かせ、縁を広げる」ことをテーマに事業運営に取り組んでいきたいと考えています。
〇「様々な分野における「差別・偏見の問題」をなくしていくための啓発活動を行う」
2020年度は当法人の理事で、九州共立大学の山田明教授の授業にゲストティーチャーとして出演)させていただきました。感染対策の環境を整えたうえで、大学生に向けて講演(「生きづらさや働きにくさを抱える方々を支える地域社会の役割とは何か」)をさせていただいたことは、今後の支援にとって大きな経験となりました。会場には当法人理事の峰さんや、会員の原田さんもご参加いただき、非常に刺激のある講演となりました。こうした機会をつくってくださった山田明先生、ご参加いただいた峰さん、原田さんに心より感謝申し上げます。
また、山田明先生より九州共立大学の紀要に論文(「生きづらさや働きにくさを抱える方々を支援する地域社会の役割についての考察」九州共立大学『2021 地域連携推進センター 研究紀要 第4号』)を提出させていただける機会をつくってくださいました。論文の執筆活動を通して、社会に発信する活動を増やすこともできました。あらためて山田明先生に心より感謝申し上げます。論文はすでに紀要に掲載しています。
※上の写真は2020年度に木喰上人の自刻像を版画にした作品
グループホームの現場では理事のFさん及び佐藤ご夫妻に協力を得、啓蒙活動では理事の山田明教授および峰司郎さん、原田泉さんの協力を得ながら、当法人の活動に取り組むことができました。この場を借りて感謝申し上げます。
最後に
コロナ禍で事業を運営することの難しさをつくづく感じた年度でしたが、そうした中でも純利益を出すことができました。すべては利用者さんおよびそのご家族、関係者の皆様、そして、いつも応援してくださった理事および正会員の方々のおかげです。心より感謝申し上げます。
※上の写真は2021年度にシーサーを版画にした作品
2020年度NPO法人縁パワー総会
理事長 山田 育男
2020年6月6日(土)、2020年度の総会を開催致しました。今年は、新型コロナウイルスの関係で、当法人が運営するグルーホーム内で総会を開催することができず、スカイプでの参加となりました。はじめてのことなので戸惑いが多かったのですが、参加者の方々と事前に準備および予行練習等をしたこともあって、トラブルもなく時間通りに開催することができました。
以下では、美しく使いやすい健康的な「民藝」の写真を紹介しながら、2020年度の総会内容を報告したいと思います。
◎当法人の活動方針は実現できたか
2016年2月1日に障がい者グルーホームを開設して以降、家族的で、あたたかいグループホームを提供することをめざし、4年が経過しました。総会では、2019年度に掲げた方針案がいかに実現できたかについて参加者の方々と確認し合いながら、進めました。
・「無理のない事業運営を心掛けていく。」
利用者さんが自分のペースで安心して暮らせ、運営側としても落ち着いて対応できました。開設当初から入居されている利用者さんたちは、健康管理や精神的な安定を図るために様々な配慮を要しますが、約4年間の積み重ねにより、見通しを持って生活をすることができるようになりました。
・「入居者同士が参加できるイベントを少しずつ増やし、交流を深めていく。」
年間行事
〇縁パワー総会(6月上旬)、〇Aさんの誕生日会(7月17日)、〇忘年会およびCさんの歓迎会(12月22日)、〇Bさんの誕生日会(1月12日が休日だったため、14日に開催)、〇節分の日(2月3日)、〇バレンタインデー(2月14日)
7月の誕生日会および忘年会、歓迎会では、理事の佐藤信行さん、監事の佐藤厚子さん、理事のFさんが参加して下さり、利用者さんが参加しやすい環境をつくってくださいました。また、利用者さんのニーズに応えるかたちで、役員の方々と歓談できる時間を設定することができました。利用者さんは大変喜ばれていました。佐藤ご夫妻及びFさんには心より感謝申し上げます。
少し予算の余裕があったので、2019年度末は交流会を兼ねたパーティーを行うこともできましたが、新型コロナウイルス問題で開催することができなかったのが残念でなりませんでした。2020年度は新型コロナウイルス問題が生命にかかわる問題であるため、当面はイベント等を控える必要があるでしょう。
・「利用者一人ひとりが社会参加をめざしていける機会を少しずつ増やしていく。」
利用者のAさんは手話サークル、災害時ボランティア活動、障害児の親の会のサポート活動、一般就労、ヨガ活動など、年度を通して積極的に活動をされていました。また、K市を拠点にボランティア団体を設立したとのことで、設立メンバーとして毎週土曜日に参加されていたようです。しかし、3月以降は、新型コロナウイルス問題のため、手話サークルおよびヨガ活動は自粛しており、さびしい思いで日々過ごされています。早めの新型コロナウイルスの終息を望んでいますが、Aさんは災害時ボランティア活動を主体的に参加されていることもあって、予測できない災害時にどう臨んでいくことができかという視点もあって、緊急事態宣言が解除されて以降も活動には慎重で、外出の自粛を継続されています。本当に頼もしいです。私たちも安心して見守ることができています。Aさん、ありがとうございます。
利用者のBさんは作業所内でなくてはならない存在として周りから慕われています。また、2019年度は、土曜日は実家に帰宅され、母親との交流を深めていらっしゃいました。2020年度も母親との交流を深めたいとの意向を示していいます。親孝行されているBさんの姿も頼もしいかぎりです。生活もだいぶ落ち着き、自分のペースで過ごせるようになりました。
利用者のCさんは、作業所内でのイベントには参加し、グループホーム内の忘年会ではカラオケで「与作」を歌われ、楽しまれていらっしゃいました。
・「暮らしの中に健康的な美を取り入れ、入居者がリラックスして生活できるグループホームをめざしていく。」
リビングや玄関などの共有部分のインテリアを工夫し、美しく使いやすい食器を揃え、花を飾り、健康的な暮らしのあり方を少しずつ展開することができました。今後も暮らしの中に健康的な美を取り入れ、利用者さんがリラックスして生活できるグループホームをめざしていきたいと思います。
・「手仕事におけるものづくり」に関連した事業を構想するための議論をしていく。
当法人の取り組みとして議論を進めていくことはできなかったのですが、まずは、当法人の理事長である山田が「手仕事とは何か」「ものづくりとは何か」を学ぶ機会を増やしたり、実践してみたりすることが大切だと考えました。
その試みとして、①日本民藝館へ通い、手仕事の美しさを学ぶ、②手仕事でつくられたものをできるだけ多く使う、③手仕事に関する講演およびイベントに参加する、④毎月陶芸教室へ通って陶器づくりに挑戦したり、板画(版画)づくりに取り組んだりする、⑤武蔵村山市内の伝統工芸にふれるため、織物協同組合に通い、伝統工芸士の話を聴く、などがあげられます。
以上の試みから、2019年度は「手仕事におけるものづくり」への意識を高める年度になりました。2020年度も継続して意識を高め、かつて武蔵村山市内で取り組まれていた手仕事を深く掘り下げ、具体的に取り組みをしていきたいと思っています。
以上、2019年度の事業方針にそって整理してきたが、「ゆっくり、根付かせ、縁を広げる」ことをテーマに事業運営ができたことは、次年度につなげられる要素が多分にあったと思います。
持ち手付きかご 城戸繁延 熊本 民藝
いかご 須浪隆貴 岡山 民藝
◎第三者評価の実施
2019年度は第三者評価機関のNPO法人メイアイヘルプユーが入り、当法人におけるサービス項目(共同生活援助)の評価をしていただきました。利用者さんには事前にアンケートをしていただき、その結果と、事前の質問事項に理事長の私が応えていく書類の2つを前提にヒアリングをしていただくことになりました。
依頼させていただいたメイアイヘルプユーの代表理事の方は全国の第三者評価機関が集まる団体の会長をされおり、全国で第三者評価が開始される以前から取り組まれている団体であったことから、第三者評価のあり方の質が非常に高かったです。また、たんに評価のヒアリングをしていくだけでなく、支援のあり方についての本質的な議論を共にしてくださり、充実した時間を過ごすことができました。この場を借りて感謝申し上げます。
評価内容については、グループホームの支援については高く評価していただきました。課題としては業務マニュアルづくりおよびリスクマネジメントの視点が不十分であることを挙げられました。業務マニュアルは、現場の支援のあり方ができているため、その支援を言葉にするだけでよいとのことでした。リスクマネジメントについては、理事の方々と整理しながら、改善策を明確にしていきたいと思っています。
また、総会では、災害時のための食糧等の備蓄や、何かあった際の保険についても具体的に挙げていただきながら、今後の対策を強化していく予定です。
前年度と同様に、当法人のホームページ及びブログは、(1)当法人の運営するグループホームの情報提供及び認知度を高めること、(2)様々な分野における「差別・偏見の問題」をなくしていくための啓発活動を行うこと、(3)様々な分野で活躍をされている当法人正会員の発信の場にすること、などを通して世の中に発信していくことを目的とします。
2019年度は少額ではありますが、無事、純利益を出すこともできました。当法人の役員の方々、正会員の方々の応援があってこそ、安定した運営ができたと思います。この場を借りて感謝申し上げます。また、利用者さんが日々の充実した生活を過ごすことができたことがなにより幸せです。今年もよろしくお願いいたします。
◎2020年度へ向けて
2020年度の方針案は、大風呂敷を広げず、2019年度の方針を継続して取り組んでいき、利用者さんの方々が安心して暮らせる場を提供するとともに、グルーホーム内の「暮らしのあり方」を追求できるよう、室内のインテリアおよび食器等にこだわっていきたいと思います。
インテリアの工夫や、手仕事の食器や竹細工等を使うことは、どのような「暮らし」をめざしていくかが見えていきます。グルーホームはたんなる支援現場だけでなく、究極的には「より良い『暮らし』」を追求する場だと思っています。ややもすれば、障害福祉は、前者のみを強調しすぎるきらいがありますが、利用者さんが安心して暮らせるようになれば、後者に軸足を移し、後者を内包するグルーホームこそ、当法人の「強み」であることを展開していきたいと思います。
◎社会に発信する場を増やしていく
当法人の理事で、九州共立大学教授である山田明先生の授業にゲストティーチャーとして出演(今年の11月予定)させていただき、大学生に向けて講演(「地域社会の中で生きづらさや働きにくさを抱える方々をいかに支えるか」)をさせていただくことになりました。また、大学の紀要に論文(「生きづらさや働きにくさを抱える方々を支援する地域社会の役割についての考察」)を提出させていただける機会(予定)をつくってくださったので、その論文の執筆活動を通して、社会に発信する活動を増やしていきたいと思っている。その機会をつくってくださった山田明先生に心より感謝申し上げます。
当法人は設立してからまだ4年しか経っていませんが、役員および正会員の方々、入居者およびご家族様、関係諸機関の方々のご協力のもとで、少しずつ成長してまいりたいと思っています。
今年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。
2019年度NPO法人縁パワー総会
理事長 山田 育男
先日、特定非営利活動法人縁パワーの運営する障がい者グループホーム「縁パワーハウジング・ウェイ」にて、2019年度の総会が開催されました。以下では、グループホーム内の美しく使いやすい健康的な民藝を写真で紹介しながら、2019年度の総会内容について報告したいと思います。
2016年2月1日に障がい者グループホームを開設し、すでに3年が経過しました。家族的で、あたたかいグループホームを提供することをめざしてきました。総会では、3年間の積み重ねにより、開設当初から入居されている方々などが見通しを持って生活できるようになってきたことを、役員および正会員の方々とともに振り返り、確認し合うところからはじまりました。
総会出席者の方々は、お祝いパーティー、誕生日会、歓迎会、忘年会、新年会などに参加され、入居者の方々と接してこられている方々ばかりです。入居者の方々に関する今後の対応などのアドバイスをいただきながら、2019年度の事業運営につなげていくことになりました。
当法人は「ゆっくり、根付かせ、縁を広げる」をテーマに事業運営を進めており、そのテーマにそって、事業運営、入居者の社会参加などに当法人がどう取り組んできたかを総括することになりました。
2018年度は、小ぶりではありますが、純利益を上げることができました。持続可能な事業運営こそ、入居者が安心して暮らせることになりますので、今後も堅実な事業運営が求められています。もちろん、利益ばかり追い求めていく事業運営では当法人のめざす社会的な使命は果たせません。事業運営の難しさとは、相矛盾する2つの要素を同時に実現することでもありますが、それが可能となるためには、当法人のテーマである「ゆっくり、根付かせ、縁を広げる」ことを泥臭く取り組んでいくしかないと思っています。
※会津本郷焼 宗像窯 宗像亮一 大土瓶
総会の事業報告を通して気づかされたことは、2018年度は「暮らしのあり方を求める年」であったということでした。入居者の方々の安定した暮らしづくりをベースに取り組むことを重視したため、グループホーム・ユニット増設を進めず、入居者の方々の日々の生活を充実させることに力を注いでいきました。入居者の方々の健康管理や精神的な安定を図るために様々な観点で配慮するとともに、リビングや玄関などの共有部分のインテリアを工夫し、美しく使いやすい食器を揃え、花を飾り、健康的な暮らしのあり方を少しずつ展開することができました。ある入居者から「私は花を見ていると気持ちが落ち着くのですよ」と話されたことがあって、入居者のそうした声こそ大切な何かがあると考え、今ではグループホームの玄関およびリビングに花を飾るようになりました。また、リビングなどのインテリアを工夫したりすると、入居者の方々から「きれいですね。これ、好きです。いいと思います」といつも応答してくださいますので、嬉しいです。総会では、2019年度も暮らしの中に健康的な美を取り入れ、入居者の方々がリラックスして生活できるグループホームをめざしていくことを確認しました。
2018年度の事業報告を受けて、役員および正会員の方々からご意見・アドバイスをいただきながら、2019年度の事業方針を以下に打ち出しました。
・無理のない事業運営を心掛けていく。
・入居者同士が参加できるイベントを少しずつ増やし、交流を深めていく。
・入居者一人ひとりが社会参加をめざしていける機会を少しずつ増やしていく。
・暮らしの中に健康的な美を取り入れ、入居者がリラックスして生活できるグループホームをめざしていく。
・「手仕事におけるものづくり」に関連した事業を構想するための議論をしていく。
※「ゆっくり、根付かせ、縁を広げる」ことをテーマに事業運営に取り組んでいきたいと考えています。
2019年度は2018年度で学んできた大切な視点を継続して取り組むとともに、これから5年後に向けた法人のあり方を追求していくための議論を進めていくことを提案させていただき、了承いただきました。その議論を進めていくうえで、新理事に佐藤信行さんに入っていただくことになりました。佐藤信行さんは認知症高齢者グループホームに勤務されており、また、当法人のグループホームのイベントにも頻繁に参加していただいていることもあって、当法人にとっても、入居者の方々にとっても必要な方です。様々なご経験のある方でもあり、いろんなアドバイスをいただけきたいと心から思っています。佐藤信行さん、これからもよろしくお願いいたします。
当法人は設立してからまだ3年しか経っていませんが、役員および正会員の方々、入居者およびご家族様、関係諸機関の方々のご協力のもとで、少しずつ成長してまいりたいと思っています。
今年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。